Microsoft Teams の設定を見ていると「認識」という設定項目がありますが、「管理者がこの機能をオンにしていないか、お住まいの地域で利用できない可能性があります。」と表示がされており設定できません。管理者がこの機能をオンにしていないと書かれていても、Microsoft Teams の管理センターにはこれに関する設定項目は見当たりません。
どうやってこの設定を有効化するのか、その方法を調べてみました。
「認識」の設定は何のためにあるの?
Microsoft Teams の認識の設定は、Microsoft Teams Rooms の会議システムで利用できる「インテリジェントスピーカー」や「インテリジェントカメラ」のためにあります。これらの機能は、ひとつのカメラに映る人の顔について「誰が映っているのか」を特定したり、マイクで聞き取った複数人の声を「誰の声なのか」を特定したりすることができます。それにより、例えば会議室のマイクでトランスクリプトを記録していた場合に起こる、文字起こしからは誰が話していたのかが区別できないという課題を解決してくれます。
また、これから 2024 年にリリース予定の、 昨年の Microsoft Ignite で発表された AI によって話者以外の声を除去してくれる「Voice Isolation(音声分離)」機能においても、ここで登録した音声プロファイルを利用するとされています。
そのため、Microsoft Teams Rooms の会議システムを利用していなくても、そろそろ認識の設定の使い方を知っておいたほうが良さそうだなと思い、調べてみることにしました。
認識設定の有効化
調査の結果、認識の設定を有効化するには、Microsoft Teams の PowerShell から会議ポリシーの「EnrollUserOverride」の値を変更する必要があることが分かりました。さっそく設定を試してみます。この設定を行うためには、Microsoft Teams PowerShell モジュールを先にインストールしておく必要があります。この記事の手順では、特別な設定をしていない限り全ユーザーに適用されている、「グローバル」会議ポリシーを変更します。
まずは、Connect-MicrosoftTeams
を利用し管理者アカウントで接続します。その後、下記のコマンドによって、グローバル会議ポリシーの EnrollUserOverride の設定値を確認します。
Get-CsTeamsMeetingPolicy -Identity Global | select EnrollUserOverride
初期値は Disabled のはずです。ここの値を、下記のコマンドで Enabled に変更します。
Set-CsTeamsMeetingPolicy -Identity Global -EnrollUserOverride Enabled
実行結果は次の画像のようになります。
これだけで設定は終わりです。あとは、会議ポリシーがユーザーに反映されるまで数分~数時間待ちましょう。
認識の設定を試してみる
無事に会議ポリシーが反映されて認識の設定が有効になると、設定画面が次のように変化しました。
[音声プロファイルの作成] をクリックすると、音声認識のダイアログが開かれました。[音声キャプチャを開始] をクリックし、画面上の文字を読み上げることで、自分の声を Microsoft Teams に覚えさせるようです。この設定は簡単ですぐに終わりました。
音声プロファイルの作成が終わると、続けて顔認識の設定を行えます。インテリジェントカメラを利用する機会があれば、続けて設定をしてしまいましょう。
Web カメラに向かって自分の顔のさまざまな角度を覚えさせます。スマートフォンの顔認証の設定のようですね。右下のイラストのようにフレーム内に顔を収めるように映します。下記の画像は顔が近すぎです。
設定は以上です。作成したプロファイルは、いつでも削除や更新をすることができるようです。
さいごに
Microsoft Teams Rooms デバイスがなければ使い道もなく、ずっとほったらかしにしてきた「認識」の設定ですが、まもなく登場する予定の音声分離機能でやっと活躍の場が出てきそうです。実際にどのように働くものなのか、早く機能を試してみたいですね。
管理者の方は、まずはこの設定方法を確認してみてください。