今年もアメリカはフロリダ州オーランドで Microsoft Ignite 2019 が開催されています。SharePoint に関する新しい情報も色々と出てきましたので、リンク先のセッションの流れに沿ってまとめていきたいと思います。
セッション動画ではデモが山盛りですので、ぜひ動画もご覧ください。
The latest innovations in SharePoint, OneDrive, and Office for content collaboration in Microsoft 365
https://myignite.techcommunity.microsoft.com/sessions/81522
公式のまとめ記事はこちらです。
SharePoint, OneDrive, and Office enhancements showcase Microsoft 365 innovations at Microsoft Ignite
https://techcommunity.microsoft.com/t5/Microsoft-365-Blog/SharePoint-OneDrive-and-Office-enhancements-showcase-Microsoft/ba-p/970118
さて、それでは始めます。英語力の問題で間違っているところもあるかもしれませんので、気づいた場合にはご指摘ください。
SharePoint の月間アクティブユーザーは 1 億人
SharePoint はもはや単なるイントラネットポータルのための仕組みではなく、Office と OneDrive や PowerApps や Microsoft Teams などと共にユーザーのコンテンツコラボレーションを支えており、月間のアクティブユーザーが 1 億人を超えました。
Microsoft が投資する 5 つの領域
日々改善を進めている SharePoint が特に注力しているのは次の 5 つの領域です。
- Knowledge
- Intelligent intranet
- Content and team collaboration
- Developer platform
- Security and administration
Knowledge
まずは Knowledge からです。どのような企業においてもスキルギャップは問題です。AI や様々なサービスからのシグナルを処理できるようになり、新たなサービスが発表されました。
Project Cortex
Project Cortex はその第 1 弾です。
従業員にとって知識や専門知識が得られるように支援します。例えば、新入社員が社内のニュースを読んでいるときに、専門用語や略語が分からない場合があります。そうした場合でもキーワードにマウスカーソルを当てるだけでトピックカードが表示され、簡単に説明や、社内の専門家、リソースなどにアクセスできます。
用語のページを開くと、それに関する様々な情報を確認できます。こうしたページは AI によって自動的に生成されます。人と情報、そして、情報と人が繋がっています。
Knowledge Center は SharePoint で構築されており、さまざまな新たな Web パーツも利用できます。
こうした機能によって Outlook や Word、Microsoft Teams など、さまざまなところから情報を参照できるようになります。
また、紙で存在する情報などをデータ化するのは大変な作業です。Project Cortex では、ドキュメントライブラリで AI Builder を利用できるようにすることで、紙で存在する帳票データから自動的にメタデータを生成します。
さらには、LUIS をベースとした Machine Teaching により、構造化されていないドキュメントからもメタデータを生成することができます。これらによって、情報の探索が容易になりますね。
Project Cortex はプライベートプレビューを開始します。興味がありましたらお申込みください。
Introducing Project Cortex
https://techcommunity.microsoft.com/t5/Microsoft-365-Blog/Introducing-Project-Cortex/ba-p/966091
Project Cortex
https://aka.ms/ProjectCortex
仕組み的に、日本語でも上手く使えるのかという点で不安もありますね。
Intelligent intranet
モダンサイトの機能強化です。ますまず進化が続いています。
SharePoint ホームサイト
今年の 5 月にアナウンスされた SharePoint ホームサイトの一般提供を開始します。
ホームサイトではメガメニューを利用でき、また、ナビゲーションでも対象ユーザーの機能を利用できるようになります。
新たな機能として、Graph をベースとして個人に適した情報が表示されます。また、自社のブランディングを適用できるスマホアプリからも利用できます。
Microsoft Stream Web パーツでは、動画のノイズキャンセリングの機能が提供されます。さらには、新しくなる Yammer Web パーツを利用することができます。
Microsoft Search を利用すると、Cortex のトピックや Stream などに保存された動画、ServiceNow のような他のサービス内の情報も検索が可能になります。
検索結果ページのカスタマイズも可能になるみたいです。
多言語対応
次は、多言語対応です。コミュニケーションサイトなどでは、様々な言語に簡単に切り替えることができます。
ページのどこが編集され変更されたかがハイライトされ、ひと目で確認できるようになることで、担当者は変更されたところだけを翻訳することができます。
ページやニュース
SharePoint でページやニュースを作成するときに利用できる数多くの写真素材が提供されます。これは非常に嬉しい情報です。モダンサイトを作成する場合に、写真は重要です。
その他、ページやニュースを指定した日時に発行できるスケジューリング機能もあります。こちらは要望が多い機能ですね。
SharePoint Spaces
SharePoint の中で 3D スペースを作成できる SharePoint Spaces の昨日は、来年の早い段階でパブリックプレビューが開始されます。今回はあっさりと紹介されただけでした。
以前の盛り上がりは何処へやらという感じを受けました。
SharePoint look book
SharePoint look book に新しいバージョンが登場します。モダンサイトでどういったことができるかを確認することができます。また、自身のテナントにそのサイトを自動的に作成できる機能も提供されています。
The intelligent intranet powered by Microsoft 365 – Microsoft Ignite 2019 announcements
https://techcommunity.microsoft.com/t5/Microsoft-SharePoint-Blog/The-intelligent-intranet-powered-by-Microsoft-365-Microsoft/ba-p/975037
Content and team collaboration
ファイルの共有や共同編集など。SharePoint は、さまざまなサービスのドキュメント共有のハブとしても大きな役割があります。
Office アプリ
Office.com のデザインが新しくなります。Microsoft Search や他社のサービスを含むアプリへのリンク、必要なファイルのリコメンドや、もっとも目立つところにあるリンクからは新規ドキュメントの作成をスグに始めることができます。
Word や PowerPoint、Excel などでは共同編集の強化のためにさまざまなアップデートを行っています。
PowerPoint では、自社のブランドが適用された Design idea が利用できるようになりますし、Word では、コメントからメンションを利用して共同編集にタスクを作成することができます。Excel では、シートのテーブルにビューを作成できるようになるようです。
そして、スマートフォンには新しい Office アプリが登場します。Word や Excel や PowerPoint がひとつに組み合わされたアプリです。
こうした話題で気になるのが、Sway はどうなったんでしょうね?
OneDrive
OneDrive では、ホバーカードのなかで Outlook や Micorosoft Teams でファイルに関して行われていた会話を確認することができます。メール添付やチャットでファイルを共有した時の会話を確認できるのでしょうか?
OneDrive では、ファイルの差分同期をサポートし、最大で 100GB のファイルをクラウド上に保存できるようになります。
セッション中のデモでは、サイズの大きな PhotoShop ファイルを編集し、瞬時にクラウド上との同期が終わる様子が紹介されていました。
Celebrating top OneDrive moments at Ignite 2019
https://techcommunity.microsoft.com/t5/Microsoft-OneDrive-Blog/Celebrating-top-OneDrive-moments-at-Ignite-2019/ba-p/963182
リストやライブラリ
ドキュメントライブラリでは、動的なカードビューを簡単に作成できるようになります。
ドキュメントライブラリのメタデータの編集フォームも PowerApps でカスタマイズが可能になります。
また、チームサイトから簡単に Microsoft Teams を作成することもでき、さらには、ドキュメントライブラリ内のファイルを SharePoint の画面から Teams のタブとして追加することもできます。
Content collaboration throughout Microsoft 365 – Ignite 2019 announcements
https://techcommunity.microsoft.com/t5/Microsoft-SharePoint-Blog/Content-collaboration-throughout-Microsoft-365-Ignite-2019/ba-p/960868
Office Scripts
また、Excel には Office Scripts が登場します。Excel Online 上でのユーザーの操作を記憶し、また、自動作成された JavaScript を編集することもできます。 そのスクリプトは、Microsoft Flow から実行することもできるようです。
Excel Announcements @ Ignite 2019
https://techcommunity.microsoft.com/t5/Excel-Blog/Excel-Announcements-Ignite-2019/ba-p/964482
これは実はすごく便利かもしれないですね。
Developer platform
新たな開発フレームワークです。ユーザーに対して新しい体験を提供できます。
Fluid Framework
これまで開発者向けに Microsoft Graph と SharePoint Framework を提供してきましたが、新たに Fluid Framework を提供します。これはリアルタイムでハイパフォーマンスな共同編集の機能を実現できます。
エンドユーザー向けにはパブリックプレビューが、開発者向けにはプライベートプレビューがアナウンスされました。
Ignite Blog: Microsoft Fluid Framework preview
https://techcommunity.microsoft.com/t5/Microsoft-365-Blog/Ignite-Blog-Microsoft-Fluid-Framework-preview/ba-p/978268
Security and administration
セキュリティや管理なども最重要テーマのひとつですね。
機密性ラベル
機密性ラベル(Sensitivity label)を利用すると、サイトやグループに対してラベルを選択するだけで外部ユーザーとの共有や管理外デバイスのアクセス制限などのセキュリティポリシーを適用することができます。
また、ファイルに対しては、その内容に応じて自動でラベルを設定することができます。
インフォメーションバリアー
金融関連企業など、セキュリティへの要件が厳しい企業に向けて、インフォメーションバリアーの機能を SharePoint にも提供します。インフォメーションバリアーを設定すると、特定のユーザー間や部署間ではファイルを共有できなくなるなどの制限を設けることができます。
SharePoint ルートサイトの入れ替え
SharePoint のルートサイトをモダンサイトに入れ替えましょう。管理センターから簡単に新しいルートサイトを指定することができます。
モダン用語セット
メタデータの管理がモダンになります。そして、用語の利用状況などを分析できるようになります。
これはやっと来ましたね。早く試してみたいです。
データ移行
2 週間前に発表した通り、Mover という移行ツールを提供する企業を買収しました。無償の移行ツールです。Google Drive などのクラウドサービスなど、さまざまな場所からファイルを Microsoft 365 に移動させることができます。
SharePoint and OneDrive Security, compliance, migration, admin and server – Ignite 2019 announcement
https://techcommunity.microsoft.com/t5/Microsoft-SharePoint-Blog/SharePoint-and-OneDrive-Security-compliance-migration-admin-and/ba-p/960871
さいごに
ここで紹介したものは、Microsoft Ignite で発表された内容の一部です。ぜひ興味のあるセッションやリンク先の記事を確認してみてください。
また、来年の 5 月にもラスベガスで SharePoint Conference 2020 が開催されるようです。そちらも気になりますね。
SharePoint Conference 2020
https://sharepointna.com/
と、記事を書いていたら現地は水曜日の朝 6 時半になりました。残りは 2 日間半です。イベント会場に向かいたいと思います。